『神無月の巫女を終えて』対談

監督:柳沢テツヤ
キャラクターデザイン・総作画監督
藤井まき


デザインワークス・総メカ作画監督
塩川貴史

制作プロデューサー:中川忍

 

―「神無月の巫女」の監督をしていて、一番こだわった部分を教えて下さい。

柳沢:今回は、どう考えても千歌音の心情でしかないよね。
ずっとそればかり追っかけてたシリーズだったので。まぁ良くも悪くも千歌音の心情をどう描くかばかり考えてて、そこが一番こだわった部分かな。

―今回、演出もなさっていますが、千歌音の心情表現は、はじめからイメージとして固まっていたんでしょうか?

柳沢:そうですね。シナリオを作っている時からずっと一緒にやっているわけだから。例えば、7話の千歌音が初めて涙を見せるとこなんかは、 元々絵が先にあってこういうシーンを入れて欲しいとシナリオを発注したりとか、千歌音はわりと固まってたかな。

−12話は、神無月って言うものを全部みせるところでしたよね。

柳沢:12話で一番大事なのは、姫子の「千歌音ちゃん愛してる」じゃなくて、「今まで一人にしちゃってごめんね」「何も千歌音のことをわかってあげられなくて、ごめんね」そっちの方が姫子にとって重要だよね。千歌音に関しては月の社で全てを決心して、自分で決めてきたことなんだけども、最後にやっぱり姫子が恋しくて、涙を流してしまう、やっぱり弱い所も持ってるというのが、一番重要なところかな。

―神無月は、千歌音の心情が中心ですが、姫子の成長という部分も要素としてあるようにおもいますが。

柳沢:そうですね、最終回で結局ソウマを断ったというのは、もちろん自分には千歌音がいるんだというものがあるんだけど、1話の段階では、“優柔不断”“言われても何も言えずにお互い黙りこくってシュンとしていた”姫子がきちんと千歌音を意識することによって、自分で決められる女の子になったんだよね。

―その成長にはわき役の存在もあると思いますが、マコトはどういう役割だったんですか?

柳沢:役割自体は9話、千歌音を失った姫子の背中を押してあげるキャラと言われればそれだけなんだけど。自分は一人じゃ何も出来ない、皆に嫌われてる、何処にも居てはいけない人間なんだと思ってる姫子に、いや、そうじゃないよ。居てはいけない人間なんていないんだよ。姫子のこと好きな娘もいるよ、だからガンバレと、まぁ姫子の精神的な部分の成長の最初のきっかけです。だからマコトには逢いに行けなかった姫子が千歌音の元へ逢いに行けるんです。

―人間関係が複雑な作品ですね

柳沢:2クールあればね、十分出来たんだけども(笑)
オロチとかロボットとかカズキなんかねぇ。ムラクモとオロチの謎をとく姿とか。
塩川:でも、ロッククライミングとかしてましたよね(笑)
柳沢:1シーンだけだから、ある意味反則技を使わないとね、短い上によりインパクトを残すためにも。
藤井:命がけで出かけるんですか。
柳沢:そう。愛する弟の為に命をかけてるんだね(笑)

―ネットなどでは作画の評価が高かったですね。

柳沢:それはね。ここにいる両作画監督がね、頑張ってくれたんで。

―総作画監督として、こだわった部分を教えて下さい。

藤井:千歌音ですね。画で見ると無表情なのですが、千歌音って言うキャラクターは伝わりにくいんですよ。心の中はショックを受けていたり。
だから、微妙な表情に気を付けないと、行動とかを見ても何考えているのかわからないじゃないですか(笑) こう言うセリフを言ってるけど、実は全然そう思ってないという・・・。その辺が、総作画監督で抑えとかなきゃ駄目な作品だろうなと。
柳沢:それを目のニュアンスで表現しなきゃなんないとかね。
藤井:ソウマが、姫子をデートに誘った時とかも、「行きたいんでしょ?」っていうじゃないですか。あの辺とかも、「本当は行ってほしくないんだけど・・・」っていうような気持ちが入ってると 思うんですよ。その辺がポイントだったと・・・。

―12話の月の社を上る千歌音の表情は凄かったですよね

柳沢:あのシーンの為に、全12話のシリーズがあったと言っても、過言じゃない位あそこに向かって頑張ってたよね。
藤井:だから千歌音は後悔してない、凄く満足な気持ちで「逢えるし」という感じで、とってもいいシーン。

―キャラクターデザインするにあたり、何か参考にしたものはありますか?

藤井:無いですね。世界観が元の原案とはちょっと変わってたんですよね。もうちょっと学園ものっぽかったと思うんですよ。だけど、ロボットが出るような世界観になったので、そこで等身とかをちょっと変えたりとかする位ですね。

―メカのデザインでこだわりはありますか?

塩川:そうですね、メカの方は基本的に村田さんのラフを崩さずに、動きやすいプロポーションにしたりとか。あと自分の趣味を加えて。(笑)、少しでもああいうのをちっちゃい子供が見て、魂を揺す振られたらいいかなぁと思って。(笑)

―制作サイドから、神無月っていう作品は制作としてはどんな感じでしたか?

中川:スケジュール的には、大変は大変でしたけど、ここぞという時に柳沢さんをはじめ、メインのスタッフの方に、本当に助けてもらったと思います。クオリティに関しては、絶対的な信頼がありましたし、仕上がれば絶対にいいものが出来るというのはわかってたので、それだけにスケジュールの線引きがどこまで引っ張れるのかというところが、一番頭を悩ませたところです。
すんなり終わった話数は本当に無かったっていう位、毎回綱渡りの連続でした。その分、心に残る作品になりました。
去年の今頃は神無月のロケで奥多摩に行きました。制作の吉田君と二人ではじめ下見に行ったんですが、その日に限って大雪が降ってしまいまして。で、誰もいないんですよ。丁度8話のカズキとユキヒトみたいでした(笑)
今までTNKでロケに行ったりとかっていうのはなかったので、準備段階から凄く気合が入ってました。本編では、メカ作画監督の西井さんが参加してくださって、大変助けられました。
柳沢:ロケに行く前に、どんな場所がイメージにありますかっていうから、「こんな感じの山があって山間に角度があって、こっち川があって橋があってこんなような場所がないか」っていったら本当にそんな場所があるじゃんみたいな(笑)
中川:本当に1年がかりで作品をっという感じでしたよね。
塩川:その位、10月オンエアに向けて結構気合入ってたんですよね。
柳沢:皆がそれぞれこだわってくれて、仕事だからこの位でいいかな?って思っている人が誰もいなかったので、結構そういうのが重要なのかな。誰か一人が「こんなもんでいいでしょう」みたいに思っちゃうとそこで終わっちゃうんだけど、皆がそれぞれにギリギリまでこだわってくれたんで、ありがたかったね。

―お気に入りの話数とそのシーンを教えて下さい。

柳沢:やっぱり7話千歌音が自分の涙を見せないように姫子を抱き寄せてこう、上からね。初めて千歌音の目に涙が溜まってくるというね。あそこのシーンが一番すきかなぁ。
藤井:いっぱいありますね。ツバサがリストラされたオヤジみたいになってたやつとか(笑)
塩川:あの、鳥居の上でだら〜んと。(笑)
藤井:もう何もする気がないみたいな。
柳沢:あれはね、結局ソウマと5話でああいう風に分かれた後、ツバサっていうのは何してるんだろう、オロチ基地に戻ってどうしてるんだろうなってなった時に、介錯さんが、●ヌー●ーみたいになってるって言って(笑)
全員:(笑)
塩川:確かにコンテに暗黒ス●ー●ー状態のツバサってかいてありましたよね(笑)
柳沢:そうそうそう。
塩川:でも、5話で満足してソウマに負けた観がありましたよね。
柳沢:負けて、喪失感でああなったんじゃなくて、結局それまでソウマのことを考えて、ソウマと共に生きていこうと思って、それだけを考えてたのに、そこで封鎖しちゃってるから、俺何やればいいんだ、俺何もやることもない、考えることもないみたいなね(笑)
藤井:確かに、ソウマに会うまで、しゃべったと思ったら「ソウマ」しか言ってない(笑)
塩川:僕の中では、ソウマは叫び声と姫子の弁護しか(笑)
柳沢:最終回のAパートラストも、わざわざ「姫子」って足しちゃったからね(笑)
塩川:僕としてはメカを活躍させたかった方なんで、やっぱ2話とか7話のソウマが助けにきて、大活躍っていうか。千歌音を悔しがらせるような目的でメカを使ってるところがありましたよね。
あと、バイクでギロチをひく所とか(笑)それで生きてるギロチもギロチだけど
柳沢:それはもう奴がオロチだからね(笑)
中川:僕は8話のラストでソウマが千歌音にロボット奪われて、口をポカーンと開けているシーンが面白くて面白くてしょうがなかった(笑)
藤井:何とも言えない面白さ!(笑)
中川:ソウマの俺主役じゃなかったの?みたいな顔が。
藤井:あれは衝撃的だった。
塩川:あそこで、今まで悔しがってた千歌音がやっとオロチの力を手に入れて戦えるようになったという。
中川:そうですね、あそこからの千歌音は強かったですよね。
柳沢:あそこで、赤くなるのは、別に3倍速く動くためじゃなくて、血の色というかこれから先千歌音にとってそれは、茨の道を行くような戦いになっていく、自らキズつき、血を流し続ける決意、その象徴として血の赤いロボットに変わったという事です。

―こうやって聞いていると、本当に奥の深い作品ですね。

柳沢:それをバカっぽくやるのが神無月なんだけどね。(笑)
だからね、皆がバカっぽいなぁとか笑って、セリフとか真似してツッこんでるうちに、何か最後には、はまって見てしまう、感動してしまうみたいな作りにしたかったんですよ。
塩川:1話とか、正直笑えますよね。ソウマが頑張って撃退してるのに、雄叫びあげてるロボの下でキスしてますからね。(笑)
柳沢: 俺は大真面目だったんだけど・・・
全員:(笑)
塩川:僕も、あのメカシーンは本当、大真面目にやったんですけど、やればやる程、段々こういうシーンになってしまうという。
柳沢:それがね、神無月だから(笑)
藤井:やってる時は本当に真剣です。ソウマだって「ガンバレー!」みたいな感じで描いてはいるんですけど、見ると笑っちゃうのは何故なんだろうみたいな。(笑)
柳沢:1話なんて、最初にもうラストのあのカットがあって、それに向かって逆算したんだよね。

―一番思い入れのあるキャラクターは・・・ということなんですが、もう話の流れで出てきてしまっているのですが(笑)

柳沢:もうタケノヤミカズチしかありえないから(笑)
塩川:散々描きましたからね。キャラ的にはソウマが乗り手だから好きですね。
一番頑張って欲しかったというか、まぁ最後振られちゃいましたけど(笑)

―今だから言えるネタばらしを教えてください。

柳沢:基本的にはロボットの戦いは70年代のロボットアニメっぽくしたかったんで、ロボットアニメって昔からロボットプロレスアニメってバカにされてた時代があって、段々リアルになってきたんだけど、今回あえてロボットは、ロボットプロレスで行こうかなと。
まぁ、1話と2話位しか出来なかったんだけど・・・。

―キャラクターを作るに当たって、参考にしたものはありますか?

藤井:結構自分で好きに描いちゃうので。殆どおまかせで色とかもイメージカラーもこっちでやっちゃってる感じです。ツバサとかは、監督の趣味で最初に書いたやつより、もうちょっとスレンダーな感じに直したりとか (笑)
まぁ、ユキヒトは最初女の子だったっていう。
柳沢:そうそう、最初ね、プロットの段階では女の子だったんだけど。
藤井:プロットの段階では女の子のキャラで、絵が全然出来てない状態なんですけど、それが男の子として描き起こしたっていうくらいですかね。
あ、でもオロチの子達の服とかは全部描きましたよ。衣装とかは全部やってます。発注時は、コロナとか、ネココとかも看護婦さんの服を着てるっていうだけで・・・だから、出す前には何枚か描いてるんです。コロナの服なんかは3・4パターン描いてっていう感じ。

―メカを作るにあたって、参考にしたものはありますか?

塩川:方向性は大体決まってましたけどね。やっぱソウマロボも相当描き直したりしてますよ。顔考えたりとか、パーツとか全部そうですよね、間接の動かし方とか。
逆に人型よりネココの“ニャーニャー”とか異形なデザインがすんなりいったりとか。
藤井:ニャーニャーって言うんですよね。
塩川:(笑)結構皆勝手に名前付けてますね。
柳沢:ソウマはね、自分のロボットのこと“キングソウマー”って自分で名付けてたんだけど(笑)
塩川:「タケノヤミカズチ」じゃ言いにくいですからね。結局ソウマロボになっちゃっいましたけど(笑)

―次回は、どんな作品がやりたいですか?

柳沢:一番好きだったもっていうのはね、今回やっちゃったから、でも神無月に関してはまだまだやりたいよね。あと、ビデオかなんかで 「コロナちゃんマジカルテ」とかね(笑)
藤井:何でも。仕事をくれるなら(笑)
塩川:こういう仕事が来れば、やりますので、どんな仕事でも自分に合うと思えば喜んで(笑)

ご協力ありがとうございました



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